ブルーバード

幸せの青い鳥を求めて

長くないらしい。

父はもう今日、明日でなくなってもおかしくないらしい。

 

おもえば僕が父にしてあげられたことは

入院中の気分転換になるようにウォークマンに音楽をいれて渡してあげることくらいだった。

初任給で買ったケーキはあまり食べられなかったみたいだ。

誕生日に買ったケーキはなんとか食べられていたなあ。

 

基本的に自由な人で

やりたいことは自分でやっていた人だったから

ぼくが余計なことをする余地はなかったなあ。

 

夜テレビをみるのにもっと付き合ってあげればよかったかなあ。

 

大学四年の年明け前に

向き合って夜、話をする勇気をもてたのは

本当によかった。

本当にできてよかった。

 

昨日は職場の人のまえで事情を話して

しまった。

はじめて話した人だったのに。

悪いことをしちゃったかな。

 

帰りの電車で入院する知らせを

お母さんからきいて

もう本当に長くない、もう家に帰ってくることはないことをきいて

泣いてしまった。

泣きながら電車に乗った。

 

きっとぼくの気持ちは

わかろうとしてくれる人でわからないことを認めてくれる人にしか受け入れてもらえない。