ブルーバード

幸せの青い鳥を求めて

蜘蛛の糸・杜子春

昨日は業務中ひまだったので芥川龍之介を読んでいた。

心に残った文句を記しておく。

 

『猿蟹合戦』

とにかく猿と戦ったが最後、蟹は必ず天下の為に殺されることだけは事実である。

語を天下の読者に寄す。

君たちも大抵蟹なんですよ。

 

『トロッコ

良平は二十六の年、妻子と一しょに東京へ出てきた。今では或雑誌社の二階に、校正の朱筆を握っている。が、彼はどうかすると、全然何の理由もなきのに、その時のことを思い出すことがある。全然何の理由もないのに?ー塵労に疲れた彼の前には今でもやはりその時のように、薄暗い藪や坂のある路が、細々と一すじ断続している。

“まるでBUMP OF CHICKENの乗車権”

芥川龍之介

 

あとがきより

 

明暗を執筆中の夏目漱石から芥川へ宛てた手紙

〈勉強をしますか。何か書きますか。‥どうぞ偉くなって下さい。然し無暗にあせつては不可ません。ただ牛のように図々しく進んで行くのが大事です〉

 

しかし龍之介は牛にはなれなかった。

やがて才能のすべてを燃焼させて、短距離走者のように短い人生を駆けぬけることになる

 

 

個人の福祉はただそれが一般の福祉である場合である場合にのみ真の幸福であるという事の示されている点であります。

キリスト教に依って啓示された二つの根本的真理ー生命は個人の否定の中にのみある、即ち生命を捨てるものが生命を得るのであるということー

トルストイ カルマの翻訳にあたって)

 

『トロッコ

「よもや」をたのみにして、次第々々に深みにはまっていく。気がついた時にはひきかえせないものになっている。

吉田精一